2010年2月23日火曜日

M&A

先日Whartonのアプリカントの方と話していた時に、その方のご興味がM&Aということだったので、WhartonではM&Aに関してどういう学びの場があるかなといった問いがふと頭によぎりました。

振り返ってみると、投資銀行・PE出身の私がファイナンス関連のエントリーをほとんど書いていないこと自体、MBAに来てからの発想の変化を如実に表しているなと感じています。一方でM&Aという外部リソース獲得の手段自体は、仮に将来自分が事業会社のmanagerになっても、consultantになっても、investment bankerに戻っても、private equity investorを続けたとしても重要な位置付けであることには変わりがないので、今一度最初の問いについてまとめておきたいと思います。

M&Aのプロセスを分解してみると、
1. 買収先候補の選定
2. 買収ストラクチャーの策定
3. 買収先候補のDD (デューデリジェンス)
4. 買収先候補の株主(asset dealの場合は買収先候補そのもの)との交渉
5. M&A取引の実行
6. Post Merger Integration (通称PMI. 非常に重要な要素ですが、今回は取引としてのM&Aにフォーカスしたいので、対象外とさせていただきます)

これに対応する形で、Whartonにある代表的な授業(XXXX 数字3桁が授業名です)・課外活動の機会をまとめてみると、
1. 買収先候補の選定
- FNCE 728: Corporate Valuation (4の交渉の場面でも当然重要になるのですが、いくらの買い物をするのか/するべきなのかを計算できるようになるのは、まずは基本だと思います)
- Case Competition (投資銀行や事業会社が主催する、与えられたケースに対して提案をまとめてプレゼンするコンペ。特定の業界におけるM&Aの提案等がテーマになることが多いため、ビジネスの観点からどういった会社が買収候補になるかを検討する良い機会だと思います。実際私もMedtronicsという医療機器企業のcompetitionに同級生のよし / Austinと参加し、業界を学ぶ良い機会になりました。今年もいくつか参加したいと考えています)
- その他、業界分析・企業分析・事業分析を戦略の観点から行う事業が複数あるので、これも有用だと思います

2. 買収ストラクチャーの策定
- ACCT 743: Accounting for Mergers, Acquisition, and Complex Financial Structures (会計・税務の観点から、M&A取引について学ぶ授業。ストラクチャリングの理解・設計能力の獲得は避けて通れない道なので、こういった授業を取っても良いかもしれません)
- FNCE 751: Mergers, Acquisitions, and Buyouts (後述のMGMT721が戦略の観点からとすると、こちらはファイナンスの観点から色々な取引形態について学ぶ授業。Buyoutが授業に占める割合が高いようです)
- LGST 807: Securities Regulation (アメリカのM&A 関連法もカバーされる授業)
- MGMT 721: Corporate Development: Mergers and Acquisitions (JVや完全買収、LBOといった取引形態がビジネスに与える影響を学んだり、M&Aが買収側・買収される側にどういう影響を与えるかを、企業戦略/事業展開の観点から学ぶ人気授業)

3. 買収先候補のDD (デューデリジェンス)
- ACCT 742: Problems in Financial Reporting (財務諸表を分析する上で留意すべき問題点について、色々な業界・商慣行等をテーマに学ぶ人気授業)
- 会計DD以外には、法務・税務・人事/組織・テクノロジー等についてのDDがあると思いますが、M&Aという文脈で特化した授業はなく、Management, Operations等の関連した授業を取ることで勉強していくことで補完する形になります

4. 買収先候補の株主(asset dealの場合は買収先候補そのもの)との交渉
- MGMT 691: Negotiations (その名の通り、交渉戦略やメカニズムについて演習しながら学ぶ、Whartonの名物授業)
- MGMT 717: The Deals: The Economic Structure of Transacting and Contracting (2のストラクチャリングとも関連しますが、deal engineeringに特化した授業で、取引行為に必要な要素とそのマネジメントを学ぶようです)

5. M&A取引の実行
実際の取引実務、具体的には契約のドキュメンテーション、公開買い付け実務、クロージング実務についてピンポイントに学べる授業はWhartonにないものの、law schoolで一部授業があるようなのでそこで補完可能です

これ以外にも、KKR のpartnerがlaw schoolで教えている法律関連の授業もあるようで、こうしてまとめてみると、Wharton / PENNにはM&Aについて学ぶ機会がたくさんあるなと思いました。私も2年生になったら、上記の授業の一部は履修しようと思っています。また、M&Aはやはり奥が深い分野故面白いなと再認識しました。

尚、そのアプリカントの方は非常にniceな方でしたので、是非合格してWhartonに入学してほしいなと思います。

3 件のコメント:

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  2. 間違えた。
    いや、参考になりました。ありがとう!
    ポイントが足りるか分かりませんが、来年取ろうと思います。

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  3. 投資銀行的には2,3,4が大事かもねー。
    まぁ、Kama chanならば実務やればすぐ身につくはずなので、
    細かいのは置いておいて、MGMTの授業を中心に取ればいいかも。

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